2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜ自殺してはいけないのか

平成十一年、日本最高の知性ともいわれた江藤淳氏が、六十六年の生涯にみずから終止符を打った。 遺書には、こう書かれていた。 心身の不自由は進み、病苦は耐え難し、去る6月10日、脳梗塞の発作に遇いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず。自ずから処決して形…

悠々たるかな天壤

明治36年、旧制一高の秀才、藤村操が16歳の若さで、華厳の滝に身を投げた。「厳頭之感」と題された遺書は有名である。 「悠々たる哉天襄、遼々たる哉古今 五尺の小躯を以て比大をはからむとす ホレーショの哲学ついに何等のオーソリチーを価すものぞ 万有の…