生き甲斐を酒にたとえると

 元プロ野球選手だったタレントが、覚せい剤所持で逮捕され、ファンに衝撃を与えました。裁判の結果、懲役2年6カ月執行猶予4年の有罪判決が言い渡されています。
 裁判で「現役時代はストレスや不安を野球で解決できたが、引退後は解決方法をなくし、薬物に負けた」と語っていました。
 趣味や生き甲斐、仕事は、生きる「ストレス」「寂しさ」「空しさ」を紛らわしてくれます。しかし、それは一時的な解決ですから、終わってしまえば、また辛い現実に逆戻りです。

高森顕徹監修『なぜ生きる』1部4章には、こう書かれています。

 ラッセルが『幸福論』で「道楽や趣味は、多くの場合、もしかしたら大半の場合、根本的な幸福の源ではなくて、現実からの逃避になっている」と言っているように、「趣味に熱中する楽しみ」とは、苦痛を一時的に忘れる時間つぶしといえるかもしれません。飲んだ酒に酔っ払っている間だけ、借金を忘れて気持ちよくなっているのと、似たようなものでしょう。