銃によるテロをなくすには

 6月12日未明、アメリカのフロリダ州のナイトクラブで男が銃を乱射し、49人が死亡、53人が負傷しました。銃によるテロでは史上最悪であり、テロ全体で見ても、9.11に次いで犠牲者の多い惨事となりました。
 犯人はISに忠誠を誓っていたと伝えられています。このような大量殺戮が可能になる銃が、簡単に手に入るのが問題だということで、銃規制の議論も再燃しています。
 それも大切な事ですが、いちばん悪いのは、「銃」でしょうか。アメリカで、銃によって死ぬ人は年間、約三万人ですが、そのうち二万人は「自殺」です。
「銃」が悪いのではなく、なぜ命を捨ててはいけないのか、奪ってはいけないのかという、「生命の尊厳」が明らかにされていないことこそ、真の問題ではないでしょうか。

高森顕徹監修『なぜ生きる』「はじめに」には、こう書かれています。

 戦争、殺人、自殺、暴力、虐待などは、「生きる意味があるのか」「苦しくとも、生きねばならぬ理由は何か」必死に求めても知り得ぬ、深い闇へのいらだちが、生み出す悲劇とは言えないだろうか。
 たとえば少年法を改正しても、罪の意識のない少年にどれだけの効果を期待しうるか、と懸念されるように、これら諸問題の根底にある「生命の尊厳」、「人生の目的」が鮮明にされないかぎり、どんな対策も水面に描いた絵に終わるであろう。