浄土真宗の二益の教え(1)

二益法門が浄土真宗の教えである。

蓮如上人のの御文章には、次のようにある。

 問うていわく、
「正定と滅度とは、一益と心得べきか、また二益と心得べきや」
答えていわく、
「一念発起のかたは正定聚なり。これは穢土の益なり。つぎに滅度は浄土にて得べき益にてあるなりと心得べきなり。されば、二益なりと思うべきものなり」(一帖目四通「自問自答」)

これについて、「なぜ生きる」(高森顕徹監修)は、次のように説明している。

「弥陀の救いは一度でしょうか、二度あるのでしょうか」
と問いを出し、
「この世は、弥勒菩薩と同格(正定聚)に救い摂られ、死ぬと同時に弥陀の浄土で、無上のさとり(滅度)が得られる。弥陀の救いは二度(二益)である」
と答えられている。

穢土とは今生のこと。人間行きている時に正定聚の身に他力によって救い摂られる。
正定聚については、「弥勒と同等」と同書では説明されている。


滅度とは死後、涅槃のこと。死後得るのが弥陀同体の仏の悟りである。


阿弥陀仏の本願では、「若不生者不取正覚」の「生」に、二益の意味がある。
「今は弥勒と肩を並べる身であるが、死ねば、先に仏のさとりが得られるのだ」と説明されている。


この世と後世の、二度の阿弥陀仏の救いである。