知識が増えても解明しない問題

 著名な脳科学者・茂木健一郎が、エッセイ『生きて死ぬ私』の中で、生死の問題に取り組んでいる。
 科学の発達によって知識は格段に増えたものの、人生の目的は何かという究極の問いは、依然として答えが出ていないと訴えている。

「科学の発達により、宇宙というマクロコスモス、人間というミクロコスモスに関する私たちの知識、理解は格段に深まった。だが、このような理解の深まりが、人間とは何か、人間の生きる目的は何かといった究極の問いの解明には、なかなかつながらない。」

高森顕徹監修『なぜ生きる』2部12章には、こう書かれている。

自分のことは自分が一番知っている、と思いがちだが、「汝自身を知れ」と古代ギリシアからいわれてきたように、もっともわからないのが自分自身ではなかろうか。はるか宇宙の様子がわかっても、素粒子の世界が解明されても、三十億の遺伝子が解読されても、依然としてわからないのが私自身なのだ。

 どれだけ科学が発達しても分からない、真実の自己と、生きる目的をハッキリ説かれたのが仏法だと知れば、最先端を行く科学者も驚くであろう。