地震が恐い本当の理由

 首都直下地震の対策を検討してきた国の有識者会議は12月19日、マグニチュード7クラスの地震で、死者は2万3千人に上るだろうと発表した。マグニチュード7の地震が30年以内に起きる確率は、70%とされている。今回は初めて、M8の地震についても想定したという。「想定外」の大地震が、現に起きたのだから、当然の対策であろう。
 それほど地震を皆が怖れているのは、結局、「死」がそれほど恐ろしいからであろう。

高森顕徹監修『なぜ生きる』1部8章には、こう書かれている。

 過剰なまでの「健康ブーム」です。どんな食生活が病気にならないか、遺伝子組み換え食品は安全か、環境ホルモンの汚染は大丈夫か、テレビでも雑誌でもさかんに取り上げられています。
 風邪だと言われても驚きませんが、「ガンだ」「エイズだ」となると大騒ぎです。それらは死に至るからでしょう。
 ティリッヒ(ドイツの哲学者)は 『生きる勇気』 で、人間は一瞬たりとも、死そのものの「はだかの不安」には耐えられないと言いました。死と真っ正面に向きあうのは、あまりにも恐ろしいので、病気や環境問題と対決しているのでしょう。核戦争が怖い、地震が恐ろしい、不況が心配……というのも、その根底に「死」があるからではないでしょうか。