根底に必要な「なぜ生きる」

 シリア内戦は4年目に突入し、犠牲者は16万人とも伝えられている。救援活動の遅れる中、シリア政府と戦うために、74か国から、外国人戦士が1万1千人、集まっているという。
 インターネットには、シリア参戦を英語で呼びかける動画があふれている。「俺たちと一緒にやろう」「今より意味のある生き方ができることは、アラーの名に誓って保証する」というメッセージに、世界中から志願者が引き寄せられているのだ。巨大な炎に、世界中の蛾が引き寄せられているようなもので、テロの志願者は後を絶たない。「なぜ人命は尊いのか」が明らかにされない限り、根本解決は望めないだろう。

高森顕徹監修『なぜ生きる』「はじめに」には、こう書かれている。

 戦争、殺人、自殺、暴力、虐待などは、「生きる意味があるのか」「苦しくとも、生きねばならぬ理由は何か」必死に求めても知り得ぬ、深い闇へのいらだちが、生み出す悲劇とは言えないだろうか。
 たとえば少年法を改正しても、罪の意識のない少年にどれだけの効果を期待しうるか、と懸念されるように、これら諸問題の根底にある「生命の尊厳」、「人生の目的」が鮮明にされないかぎり、どんな対策も水面に描いた絵に終わるであろう。