「いっそ小さく死ねばいい」?

 8月27日に発売される、シンガーソングライター森山直太朗の新曲「生きてることが辛いなら」に、「いっそ小さく死ねばいい」という歌詞があり、賛否両論が巻き起こっている。

 冒頭の「生きてることが辛いなら いっそ小さく死ねばいい 恋人と親は悲しむが 3日と経てば元通り……」という歌詞は、自殺をあおっているようにも聞こえる。

「過激すぎる」「どきっとした」という声から、「心にしみる」といった共感まで、ネットでの書き込みは1000件を超えるという。

 宣伝担当者は「決して、冷たく死を突き放しているわけではありません。どっきりさせるような毒のある表現がありますが、死を考えてみることで、命の大切さ、尊さが分かるよ、と言いたかったということです」と語っているが、どこまでメッセージが伝わっているのだろうか。

「人間に生まれたのは、このためだ。この目的を果たすまでは、どんなに辛くても、生きぬきなさいよ」と、人生の目的を明確にしてこそ、生命の尊厳が明らかになるのではないだろうか。

 高森顕徹監修『なぜ生きる』1部2章には、こう書かれている。

 自分の生命が地球よりも重いと知れば、「ハズレくじ」を捨てるように、ビルからの投身も、他人の命を虫けらのように奪うことも、できるはずがありません。
「人生には、なさねばならない目的がある。どんなに苦しくても、生き抜かなくては」と、生きる目的が鮮明になってこそ、生命の尊厳が知らされるのです。
 子供の相次ぐ自殺やエスカレートする殺人に、世の中は騒然としています。家庭の問題だ、教育の欠陥だ、少年法が悪い、病んでいる社会……解説は十人十色です。しかし「苦しくとも、生きねばならぬ理由は何か」、肝心の「人生の目的」が抜け落ちた議論がつづくだけでは、対策も立てようがないでしょう。