3億円手に入れたら

 7月から放映されているドラマ「ロト6で3億2千万円当てた男」は実話に基づいており、実際に38歳で年収320万円だった独身男性が、ロト6で3億2千万円を手に入れたという。
 ロト6購入、3年目の当選で、最初の買い物は380万円のロレックス。

 1000万円以上の高額当選者のみに配られる「宝くじガイドの「その日から読む本」には、次のように書かれている。

・後で後悔するような軽はずみな言動に注意する。
・当選直後は興奮状態にあるという自覚を。
・自分の性格やクセを見つめ直そう。
・ひとりでも多くの人に話せば、うわさは広まるのは覚悟しよう。
・興奮の後に訪れる不安は以前の自分に戻るための通過点。

 前述の男性は、社会とのつながりを持つため、ボランティア感覚で会社勤めを続け、家も買わず車も買わかなかった。だが大金持ちなのに全くモテず、人間不信が増し、一万円札で鶴を折ってはため息を吐く日々だという。

「大金を持って手に入れたものは?」と聞かれた答は、「ロレックスくらいです」
「大金を持って手に入れられなかったものは?」には「愛や人の気持ちです」という返事だった。

 有っても無くても、苦しみの色が変わるだけなのだろう。

 高森顕徹監修『なぜ生きる』2部3章には、こう書かれている。

 金、財産、名誉、地位、家族、これらが無ければないことを苦しみ、有ればあることで苦しむ。有る者は?金の鎖?、無い者は?鉄の鎖?につながれているといってもよかろう。材質が金であろうと鉄であろうと、苦しんでいることに変わりはない。
 これを釈尊は「有無同然」と説かれる。
 どれほどの財宝や権力を手にしても、たとえ宇宙に飛び出しても、本当の苦悩の根元を知り、取り除かないかぎり、人生の重荷はおろせないであろう。