最も希求される「人生の目的」

 スマートフォンの年間の販売台数は、4億台を超えている。4年後には10億台を突破する勢いだが、反対にパソコンは3億5千万台で、スマホに差を付けられる一方である。
 十年後には、携帯電話のほぼすべてがスマホに変わって、60億人が、世界のどこにいてもインターネットがつかるようになるらしい。
 携帯がスマホになり、テレビは白黒からカラー、液晶、3Dへ変わり、技術の進歩は目覚ましい。
 だが、これだけ便利になっても、「あぁ、幸せだ」という満足がないのは、「人生の目的」が分からないからではないだろうか。

高森顕徹監修『なぜ生きる』2部1章には、こう書かれている。

 科学の進歩はめざましく、歩きながら誰とでも会話ができる。「ケータイ」は小学生ですら耳にあてている。腕時計も持てなかった時代が信じられない。電子レンジで、どれだけ料理の手間がはぶけるようになったことか。コンビニATMの登場で、二十四時間いつでも預金や払い戻しが可能になった。自宅の「インターネットバンキング」で、銀行に行かなくても残高照会や振り込みができる。口から飲み込んで肛門まで、内臓の状態をリアルタイムで送信する、超小型コンピューターが開発されたというからありがたい。
 たしかに世の中、便利になったが、「ああ、幸せだ」という実感がわかないのは、なぜだろうか。欲しいものを次から次へと獲得しているが、際限なくひろがる欲望に、どこまで走っても満たされず、渇しているといえよう。
 日本をはじめ先進国で自殺者が増加し、異常な犯罪や悲惨な事故が多発している。新潟での九年間の少女監禁などは、犯罪史上、例を見ない凶悪事件だ。二十八歳男の、殴打やスタンガンによる暴力にも、悲鳴さえゆるされなかった九歳の少女は、自分の腕や毛布にかみついて耐えたという。
 平成十二年は、少年の暴走も加速した。主婦を殺害した少年は、「人を殺す経験がしたかった」とうそぶいた。それを聞いて、「先を越された」とくやしがった十七歳の少年は、バスを乗っ取り一人を惨殺、五人に重軽傷を負わせ、長時間乗客を恐怖にたたき込みながら、「何か悪いことでもやったというのか」と供述したという。十五歳の男子生徒が、友人一家の皆殺しを計画し、サバイバルナイフで三人を刺殺、残り三人にも重傷を負わせた、と聞くにいたっては言葉をのむよりほかはない。


◎ 真の宗教の使命――訴えるアインシュタイン


 物が豊かになり、暮らしはずいぶん変わったが、それで幸福になれるのではない。二十世紀は、それを証明した時代といわれる。長足の進歩をとげた科学は、史上、もっとも強い力を持った手段であるが、かつてない大量殺戮にも使われ、人間自体を滅ぼそうとするまでに至った。
 科学を何に使うか、その目的を教えるのが宗教の役目だ、とアインシュタインは訴えた。『私の世界観』 という本には、「人生の意義に答えるのが宗教だ」とも書いている。二十一世紀が「宗教の時代」といわれるのは、もっとも大事な人生の目的を、はっきり指し示す「真の宗教」が、希求されているからであろう。

 人生の目的はあるのか。
?あるから早く達成せよ?

 これ以外、親鸞聖人のメッセージはなかった。
 人類のもっとも大切なもの、人生の目的を明示されたのが聖人である。
 聖人が徹底された人生の目的を知れば、なぜ、その生き方に共鳴し、感動し、共感する人が多いのか、うなずけるであろう。

 人類が最も知りたい人生の目的を明示された親鸞聖人の教えを、一人でも多く聞いてもらいたいと念じずにおれない。