本当の自殺対策

 日本の自殺者は、昨年25年は2万7千283人。一日あたり74人だが、お隣の韓国も、一日あたり39人で、OECD(経済開発協力機構)加盟国の中で最多となっている。
 ソウルにある麻浦大橋は、そこから川に飛び降り自殺する人が多いため、「死の橋」と呼ばれてきた。そこで一昨年、自殺対策として、夜間に人が近づくと、センサーで明かりが付き、「一緒に歩こう」「愛しているよ」という文字が見えるようにしたという。だが実際は、ここが「自殺の名所」だという知名度が上がって、逆効果になってしまった。
 どんなに苦しくとも、生きねばならない理由は何か。一番大事な、「人生の目的」が明らかにされない限り、根本的な対策にはならないだろう。
高森顕徹監修『なぜ生きる』「はじめに」には、こう書かれている。

 戦争、殺人、自殺、暴力、虐待などは、「生きる意味があるのか」「苦しくとも、生きねばならぬ理由は何か」必死に求めても知り得ぬ、深い闇へのいらだちが、生み出す悲劇とは言えないだろうか。
 たとえば少年法を改正しても、罪の意識のない少年にどれだけの効果を期待しうるか、と懸念されるように、これら諸問題の根底にある「生命の尊厳」、「人生の目的」が鮮明にされないかぎり、どんな対策も水面に描いた絵に終わるであろう。